法堂について
現在の建長寺の法堂は、文化十一年(1814)に建てられたものです。
見たところ五間ですが、三間の主屋に両側に裳腰がつきます。
桁行き(幅)は約 19m で、前に立つ仏殿が 約 12.4m ですから、およそ 1.5 倍です。
全体には地味な印象の造りとなっています。
正面の三間は双(諸)折桟唐戸(もろいりさんからど)、両脇は火灯窓です。
側面にも火灯窓がありますが、こちらは窓の裾が広がらず関東式といわれています。
飛貫と頭貫の間には、きめの細かい筬欄間(さおらんま)が周囲にめぐらされています。
主屋の斗栱は二手先で、斗栱の間には撥束(ばちづか)を配しています。その上には二つの
斗、すなわち双斗(ふたつど、そうと)を置きます。
支輪の彫刻は流水文があり、また一手・二手の秤肘木(はかりひじき)の両端に渦巻きを彫るなど、
地味な造りの中でも装飾性があることが分かります。当時の好みが反映されているとのことです。
内部は、四半敷の土間です。主屋と裳腰を繋虹梁で結びます。
文化の時代に再建された法堂は、江戸末期の鎌倉禅宗様建築の代表作と目されるとのことです。
(『目録』)
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