■鎌倉在住30年
わたくしは鎌倉に引っ越してきてからかれこれ30年になります。
鎌倉に住みたくて、この場所(鎌倉市寺分)に土地を購入したのですが、10年ほど茅ヶ崎に住んでおり、子供が小学校に入るのをきっかけに家を建てました。湘南在住40年です。
茅ヶ崎の団地では「土が欲しい」、「庭が欲しい」と庭のある家に憧れていました。(笑い)ですから、鎌倉に家を建てるときはガレージを地下に納め、庭を広く取るように配慮しました。
種をまいて花を育てていくのが好きなので、美しい庭園になるはずだった我が家の庭は苗作りの場になってしまいました。(笑い)
我が家の庭 |
苗作り |
■ガーデニングの世界へ
園芸に夢中になったのは鎌倉に住むようになってからです。けれど、母が生け花を教えていたので、幼い頃から花や樹木が身近にありました。
そして、こんなに好きな園芸を仕事としてやっていけたらと思うようになったのは、50歳を過ぎてからでしょうか。友人の紹介で「英国王立園芸協会」会員になり、植物関係の友人も増え、学ぶ機会も多くなりました。
これはガーデニングの団体で、日本人の会員がおよそ2,500人、世界では34万人ほどの会員がいます。植物界では世界で一番大きな組織です。
また、「グリーンアドバイザー(GA)」の資格を取りました。この認定制度は農林省の外郭団体である「家庭園芸普及協会」が認定試験をやっており、どなたでも受けることが出来ます。最近は人気が高くなりなかなかむずかしいそうですが・・・
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「日本園芸療法研修会」の会員にもなりました。
この会は、研修会の教室に1年通い、卒業後任意で会員になります。
園芸療法とは、福祉、医療、リハビリテーション、教育、更生などの場面で、援助や治療の技術の一つとして、園芸作業による効果や利点を生かすことです。日本ではまだ国家資格はありません。
← 県立フラワーセンターのガーデンショー「春の窓辺」
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こうして自分が取れるだけの資格を取り、さまざまな研修を通じてガーデニングの力をつけ、主に雑誌などに投書をしたんです。「暮しの手帖」、「ミセス」などに文章を投稿したりして世の中にアピールしました。(笑い)
■本の出版
しばらくしてふとしたきっかけで「婦人之友」のグラビアに掲載され、同社が本を出すので手伝って欲しいという話があり、最初の本が出版されました。その後、「ミセス」の「文化出版局」からも話があり出版しました。
鷲澤孝美さんの著作リスト
私の花生活(共著) | 1997年 | 婦人之友社 |
種から楽しむ花そだて | 1999年 | 文化出版局 |
鉢花アレンジ | 2000年 | 淡交社 |
鉢花づくり | 2002年 | 成美堂出版 |
昨年(2003年)は、サカタのタネの『園芸通信』に「タネから始めるガーデニング」を一年間連載いたしました。
こうして、本が出版されるようになって、いろいろの話が来るようになりました。
■現在の仕事
今は、「サカタのタネ・ガーデンセンター横浜」と藤沢の住宅展示場で毎月、講習会の講師をしております。ほかに学校のPTAの催しや横浜の女性フォーラムでの講習などもあり、昨年は40回ほど講習会をいたしました。
講習のテーマは、「寄せ植え」、「ハンギングバスケット」、「種まきの話し」、「宿根草の育て方」、「苔玉作り」などです。
しかし、何といっても楽しく、生き甲斐を感じるのは、あるホスピスでの仕事です。
植木屋さん、造園屋さん、メンテナンス担当者、そして草花担当のわたくしの4人でチームを組んで、広大な庭の一切を引き受けるのです。それぞれの意見を戦わせながら良い庭に仕上げるよう努力しています。
ホスピスの庭園 |
花車 |
施設の性質上、患者さんが「自分で手入れをしたい」という方は少なく、病床から眺めるだけの方が多いのです。そのために一般の庭とちがっていろいろな配慮をしています。
・派手でない花、・丈の高い花、・長く咲く花、・人工的でない花、
・虫のつきにくい花、・棘のない花、・樹と花と葉のバランス
を考えながら、一年草や多年草、球根の中から選び、芝生や高い樹木にマッチする庭を作り上げていくわけです。
英王立園芸協会の会員は一年に一度、1200種類の植物リストの中から希望の30種の種を無料でもらえます。これをまいて育てた花を咲かせるのにこの施設は理想的な場所ですね。
患者さん、ご家族の方々、施設のスタッフやボランティアの皆さんに喜んでもらえるのが、わたくしの最大の喜びですし、少しでも植物から癒しの力を得ていただけたらと願っています。
■人との出会い
微力なわたくしが、このようにお仕事をさせて頂けるのは、沢山の方々のおかげです。これまでのことを考えますと、各々の転機によい友人と出会っています。
よい方と巡り合え、よい仕事ができるのは本当に幸せなことです。
今秋の大きな仕事の一つは、2004年10月16日〜24日に、丸の内の仲通りで催される「椅子と緑のある空間」というガーデニングショーに参加することです。
グリーンアドバイザー神奈川の仲間がコンテストの一次審査に合格。GA神奈川として施工を協力することになり、わたくしも加えていただきました。どんな庭が出来上がるか楽しみです。 |
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■植物とのつきあい
土にふれ、植物と向き合っていると心が落ち着きます。もの言わぬ植物ですが、手をかけると答えてくれます。
今春、種をまいた銅葉のガーデンダリヤは、施肥、病害虫対策、水やりに気をつけたためか、つぎつぎと花をつけ、花壇を彩ってくれています。9月に入ると来春の花のタネまきが始まります。次々と仕事があり、毎日新鮮な発見があります。
体力、気力が保て、いつまで続けられることでしょうか。最近は出来るだけ若い方をさそって、一緒に働いてもらうように心がけています。後を引き受けて頂けるように願って!
若い方と働くと元気を頂けるし、わたくしにとってもいろいろな点で勉強になります。健康で楽しく働けるのは幸せなこと、感謝しております。
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