第53回 My 鎌倉 | |
今月のゲスト |
礒野 衞孝さん漢詩人 鎌倉鹿鳴会会長 [07.04.26 鎌倉生涯学習センターにて] |
いその・もりたか さんのプロフィール |
昭和6年(1931年)東京赤坂生まれ 昭和30年(1955年)慶応大学工学部卒 貿易会社に勤務 輸入測定器・分析計の国内販売に従事 平成10年退職 平成 5年より漢詩作詩を始める 斯文会入会 石川忠久・宮本大典先生に師事 現在、全日本漢詩連盟評議員・神奈川県漢詩連盟理事 鎌倉鹿鳴会会長 |
■漢詩への出会い 私の漢詩への興味の源は、まず第ーに父の血を継いだからでしょうか。父は東亜同文書院 (1901年に中国に設立された日本人のための高等教育機関) を卒業し、漢文や漢詩の素養があり、そのような環境に育てられたのが影響しているように思われます。 緑豊かな鎌倉に在住して約 35 年、すっかり古都鎌倉になじみました。 家の近くには山桜がたくさんあり、早春の頃から色づき始め、開花すると見事な情景で、これを眺めるのが楽しみの一つです。
「山が動く」といった人もいましたが、山桜の風景が漢詩に取り組むきっかけとなりました。 企業に在籍中に詩吟をならったこともありましたが、本格的にいつかは漢詩に取り組もうと考えていました。 平成 10年に退職しましたが、その前後から神田御茶ノ水の湯島聖堂にある斯文会(漢文学の研究)に入会し、石川忠久先生、宮本大典先生に師事し、漢詩の作詩を始めました。 また、平成 7年より漢詩の朗詠を勉強し始め、「中国の名詩を詩う会」 に入会、そこでは李白、杜甫などの漢詩を朗詠し、さらに鎌倉に関する漢詩を作詩しながら朗詠することになりました。 平成16年には「鎌倉鹿鳴会」を設立しました。 古都鎌倉には、歴史上の有名な社寺や遺跡が数多く残されています。 鎌倉の歴史・文化とか、また山城を背景に相模湾に開らかれた優れた風景を、「漢詩、短歌、俳句」を朗詠することによって、多くの方に紹介し、鎌倉の文化を後世に伝承することを目的に「鎌倉鹿鳴会」の活動を進めています。 ◆「鹿鳴」のいわれ 「鹿鳴」の名称は中国古代の漢詩集「詩経」に収められている言葉をお借りしております。 この詩は牡鹿が牝鹿を呼ぶように友を集めて宴会を開き、音楽を奏で、料理を勧め、旨酒を飲んで、楽しく語り会いをしましょうという内容です。 明治時代に諸外国の大使等を招いて日本の文化を知らせるため、「鹿鳴館」という洋館を建てたことで知られています。 ◆「鎌倉鹿鳴会サロン」は上記の目的で随時コンサ−トを行い、朗詠の形を通じて皆様と共に鎌倉の文化を楽しもうと考えています。 朗詠のお好きな方、鎌倉に因んだ詩歌を先人の作品の中から選び出したり、又新しい作品(漢詩、短歌、俳句)を創作してくださる方々のご参加を募っています。 現在のテ−マは「鎌倉八景」、「鎌倉五山」ですが、順次いろいろと範囲を広げて活動して行きたいと思っています。 ◆また全日本漢詩連盟の評議員や神奈川県漢詩連盟の理事として、 多くの方に漢詩の魅力・良さを知っていただくため、漢詩の作詩や 普及活動をしています。
◆最近の活動及び発表 最近は次のようなところで鎌倉の漢詩について発表しています。 ● 平成18年 6月 鎌倉生涯学習センタ− フエステバルで「鎌倉に因む漢詩」を紹介 ● 同 8月 鎌倉宮奉納朗詠へ参加 ● 同 10月 鎌倉市民文化祭で「鎌倉五山」と「鎌倉八景」を発表 ● 平成19年 6月 鎌倉生涯学習センタ− フエステバルで、「鶴岡八幡宮」と「鎌倉八景」を詠った漢詩を発表の予定
■漢詩について 漢詩のうちで皆様がもっともなじみの深いのは 七言絶句 という、七文字の 四行、すなわち 二十八文字で構成されているものですが、漢字そのものが、詩の内容とともに絵画のごとく描写されて鑑賞ができるのです。そのために、書道の題材として使われます。ですから正式に使うのも旧漢字です。 例えば、想像上の動物の "りゅう" は 「龍」であって 「竜」ではいけないのです。 二十八文字を並べ終わったときは、クイズを解いたときのような快感があります。 昨今漢字クイズが盛んですが、漢詩にも是非関心を持っていただきたいと思います。 特に余暇を楽しみたいかたや、大学生・高校生などに参加してしていただきたいと願っています。
◆漢詩を作る 漢詩を作るのは難しいと敬遠されるかたが多いのですが、決してそのようなことはありません。 一定の規則はありますが、順次解決できます。 例えば、昔の小学唱歌や歌曲の中には起承転結があり、それを使って作詩することも一つの勉強です。 「春の小川」と「鉄道唱歌」を私が漢詩にしたものです。 ◆漢詩の作品紹介 私が作った鎌倉に関するものだけでも200首ほどになりましたが、その中から4つご紹介いたします。 添えられている絵は、歌人でもある菅谷ゆ里先生に連句画をお願いしました。
漢詩・短歌・俳句とともに 鎌倉を散策して詩う 漢詩による 鎌倉景観百選 漢詩集鎌倉八景を詩う ■「鎌倉鹿鳴会」の教室のご案内 1)作詩勉強会 初めてのかたも参加して漢詩の作り方の基本を勉強する目的です。 日時:毎月 第一月曜日 と 第三土曜日 10〜12時 場所:鎌倉生涯学習センター 2)鎌倉の漢詩朗詠練習会 詩吟とは異なった平易で柔らかな朗詠法です。 短歌・俳句も併せて朗詠します。練習は「中国の名詩を詩う会」で合同して行います。 詳細は下記にお問い合わせください。 連絡先:鎌倉鹿鳴会 会長 礒野 衞孝 電話・FAX: 0467−24−5651 |
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