第60回 My 鎌倉 | |
今月のゲスト |
増田 行治さん玉繩桜をひろめる会 代表
[09.01.29 NPOセンター大船にて ] |
増田・行治 さんのプロフィール |
・昭和 13年生まれ ・昭和 36年 九大(法)卒、鉄鋼会社に勤める ・昭和 43年〜 主に情報システム部門でシステムの企画、設計、構築に当たる ・昭和 58年〜 情報システム子会社設立、移籍 ・平成 11年〜 定年退職後、仲間とソフト会社およびITシニアのクラブ設立 ・平成 18年 4月 玉繩桜をひろめる会 設立 同 代表 |
■ 玉繩桜との出会いと「玉繩桜をひろめる会」の設立まで 玉繩桜との出会いは 3年前のことですが、全くの偶然でした。しかし、あらためて振り返ってみますと、この活動を始めたのは、私のキャリアやバックグラウンドがあったからで、偶然と必然がうまく組み合った結果と考えています。
私は鉄鋼会社に勤め、社内の情報システムやネットワークを構築する仕事に長年携わってきました。 また新たなソフトビジネスづくりを手がけ、20年も前に日中合弁のソフト開発の会社を作ったのも先駆けでした。 今でもそのOB達がつくった会社を支援しており、中国へもまいります。 このような訳で、システムとは何かを絶えず考えてきました。 会社はもちろん、地域や家庭でも、世の中に人が二人以上いれば必ずシステムとして動いていますから、すべてをシステムとして捉えることが身につきました。 4年前に市が 「来る10年の基本計画」 を作ることでメンバーを募集しました。 自ら住む地域社会や市がどのような仕組みで、どう動いているのか、どのように貢献できるかを知りたくて応募しました。 市民 100人会議の市民委員に参加し、そこでの 2年間が大変勉強になりました。 分かったことは、市に要請すること以外に自からやることがあるのではないか、また多くのことが地域で実現していないことでした。 さらには自分の経験が役立つという思いを強く持ったと同時に、地域を見る目が変わりました。
自分の住んでいるところを見渡すと、マンションが建ち、緑が削られ、殺伐としてきていることです。 中心部は古都保存法があるのに、玉繩地区は草刈場なのです。 一方、地域を知るにしたがって、ここにはかつて後北条氏の玉繩城があり、歴史を深く研究しておられるかたとも懇意になって、この地域は魅力あるところであることが分かりました。 何とかしたいと考えはじめ、玉縄地域を中心にした古代から近代までの勉強会を8回のシリーズで開いたり、勉強を続けました。
地域の全体像が少しづつ見えてきたとき、地域の仲間から、フラワーセンター 「神奈川県立 フラワーセンター 大船植物園 (以下 フラワーセンター)」 にある玉縄桜の話題が出されました。 玉繩桜とはどんなものか、どのようにして発見され、育てるにはどうするかなど、まったく知識はありませんでした。 平成 18年初、玉縄桜の発見者にお会いすることができ、その 4月には 4人で「玉繩桜をひろめる会」をスタートしました。 フラワーセンター園長はじめ多くの方に教えてもらいました。 かねての思いの町おこしをする具体的な手立てとして、シンボルであり、コアとして玉繩桜を位置づけました。 玉縄桜を中心に、玉繩のアイデンティティを高めることができ、仲間が仲間を呼び輪が広がってきました。 地域社会や諸団体との交流、学校や子どもたちとの触れ合いなどです。
■ 玉繩桜とは 玉繩桜は 今から 40年前の昭和 44年に発見されたものです。 花はソメイヨシノ (染井吉野) とオオカンザクラ (大寒桜) の自然交配種でややピンク色です。
玉繩桜の名前の由来には面白いいきさつがあります。 新しい品種の登録の出願にあたって、名前を近くを流れる柏尾川から取って 「柏尾桜」 として申請したそうですが、当時普及し始めていた電算機 CASIO (カシオ) との混同が懸念され改名の指導があり、玉繩桜となったとのことです。 発見したかたは、当時フラワーセンターの職員であった小栗義隆さん(故人)です。昭和 43年、桜の台木を養生するために染井吉野の種子を採種し、44年に播種しました。 その苗の中に発芽が半月ほど早いものが1本ありました。そしてその木は昭和49年に開花するのですが、染井吉野などに比べ 20日ほど早いことが分かりました。 調査を継続してその特徴を確認した上で登録の出願をして、平成2年に新たな種類として認められ種苗登録されました。
■ 玉繩桜の広がり 玉繩桜は、もちろん誕生の地である大船フラワーセンターに原木を含め数本ありますが、寄贈された 関谷 ・ 植木 ・ 玉繩各小学校、 玉繩中学校、 鶴岡八幡宮の段葛などにあります。 またこの会で植樹したものは、 行政センター玉繩支所、 植木青少年ひろば横、 山崎浄化センター、 鎌倉市役所などで、今後どんどん広げてゆきたいと考えています。このほかに地元の有志が、鎌倉愛の郷、 ロジュマン、 栄光学園、 谷戸池などにも昨年植樹しています。 2月 25日に、第 3回の玉繩桜散策会が行われ、あいにくの雨模様にももかかわらず大勢のかたが参加されました。 はじめにフラワーセンター園長さんのご案内で、園内の玉縄桜の原木などを見学し、そのあと玉縄中学校、玉縄青少年ひろばと植木小学校を訪れ、最後に玉縄小学校の満開の玉縄桜を見ました。
■ 「玉繩桜をひろめる会」の活動について 自分たちの手で苗木を作り、育てて植樹し、植樹したものを見守る。 これを継続循環させ、次の世代に継いで行くことです。
昨年の 12月には待望の苗床・腐葉土づくりのための基地が誕生しました。フラワーセンターにお世話になっていましたが、なんとか自立して苗木づくりなどができるようになりたいと、かねがね考えていました。 幸いにも関谷においでのかたのご好意で土地を貸していただけることになり、早速、この畑の整地や近くの竹林から竹を切りだして囲いをつくりました。周囲から集めた枯葉を積み上げて、腐葉土づくりをはじめました。 今年からは、この基地で苗床・腐葉土つくりをしながら、苗をつくり、里親へ預け育った苗木を植栽場所へ植樹できるまで保管します。 加えて、城廻の市の空き地も借りることができましたので、一層活動拠点が充実してきています。
会員のなかで、過去の気温と開花の関係を分析し、開花日を予想するかたがおります。 染井吉野と同様に考えると、12月 1日を基点に平均温度を積算(累計)し、550℃位に達すると開花することが過去のデータからいえるそうです。 今年は、1月の末の予想で 2月 10日前にも開花するのではないかとの予想を出していました。 予想はほぼ当たり、2月 6日にフラワーセンターで開花宣言されました。 ■ 「玉繩桜里親制度」について 里親制度というと、抵抗のあるかたもおいでと思いますが、当会は苗木を預かって育てていただく制度です。 試行錯誤をしながら、桜の大好きな会員のご好意で育てていただいております。 正確にいいますと、第1回の苗木里親は平成 19年 6月に穂木の採集と挿し木しをして、9月に発根したもの 226本を 50人のかたにお預けしました。この中の 50本ほどが生き残り今年の 2〜3月に植樹します。 昨年、平成 20年の 6月にも穂木の採集と挿し木をしました。本年の 2月に鉢分けをして、3月に第 2回の苗木里親を募集し、4月にその里親のかたにお預けする計画です。 10名のメンバーで越冬の管理をしてきて、順調に育ったもの、枯れてしまったものなど、様々ですが、150本くらいは鉢分けができるものと期待しています。
■ 玉繩桜をひろめる会のご案内 ※ ぜひご入会いただき、活動の輪を広げていただければと願っております。 ●代表: 増田 行治 ●会員: 現在 90名 (平成 21年 2月現在) 常時募集 ・会の活動をされるかた ・苗木を育てていただけるかた ・その他のご支援、ご協力いただけるかた ●会費: 年会費 1,000円 (入会金 なし) ●お問合わせ: 電 話:0467−47−0977 FAX :同 上 ●住所: 〒247−0074 鎌倉市城廻673−18 Copyright (C) Kamakura Citizens Net / Kamakura Green Net 2001 All rights reserved. |