鎌倉は海もみどりもあって歴史も感じられてきっと素敵な環境。そんな風に感じて、子連れで鎌倉に移住しました。住んでみるとみなさんとっても優しくて、すれ違うと挨拶してくれるような、人と人との距離がちかいまち。
でも当時は駅や道路はバリアフリーではなく、授乳施設もおむつ替えができるトイレも当時は少なくて、子連れ向けの公園や室内施設も少なく、まち中でも「子連れお断り」なんて張り紙を見かけるほど行ける場所がなかったんです。なにより子どもを預かる託児サービスが見当たりませんでした。自分が病院に行きたくても子連れではいけないような、子育て支援なんて遠い頃でした。
そんなたいへんな経験から、鎌倉での子育てがもうちょっとラクに、楽しくなるようにと、「子育て情報?なにそれ?」って言われつつ、子どもと一緒に行けるところ、一時保育や相談場所、病院などを探しまわり、身の回りのお役立ち情報を集めて発信したのがサイト「鎌倉子育てガイド」の始まりです。
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少ない費用で情報発信ができるようにと、印刷物ではなく、当時まだめずらしかったインターネットでの発信にしました。勉強をして自分たちでホームページを制作。情報集めもこどもと一緒に自分の足で。写真も文章もイラストも自前。取材先に電話をかけたら「インターネット?そんなのこわいからイヤ」なんて言われることも多かった。子どもに手がかかる頃で、パソコンに向かって作業できるのはみんなが寝ている深夜。家族や友人たちの協力がなければ、とてもとてもできませんでした。
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体験プログラム
子育てガイドが安定してきた2002年、講師を呼んで親子向けの体験プログラムを実施しました。ライフセーバーやシュノーケルのインストラクターとの出会いから、そんな講師のもとで鎌倉の自然を親子で体験できるとよいな、とおもったからです。海の生き物との付き合い方、天候を読む力、子どもから目を離さないこと、救急で駆け込むクリニックの調査。準備や段取りの大切さを学びました。プログラムの様子はサイトで報告。楽しかったけれど大変だった。
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鎌倉 病院情報 独立
鎌倉子育てガイドにある病院のページが好評で、年齢に関係なく必要とされている情報だと感じるようになりました。「かかりつけ医って??」という風潮でしたが、2005年にこのページをサイトとして独立させて、鎌倉市周辺のファミリーでお世話になれるような身近なクリニックを取材し、「鎌倉
病院情報」というサイトとして紹介していくことにしました。
今では取材先も100を超え、鎌倉での「かかりつけ医選び」の参考にしていただけるようになりました。病院とクリニックの役割のちがい、子どもの体調管理や予防接種の大切さ、ドクターにかかるかどうかの見極めなど、取材から私たち自身が学ぶことは多いです。
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散歩がきっかけの鎌倉野菜物語
近所の畑を友人と散策するうち知り合った鎌倉の農家さんたち。野菜作りにかける真摯な姿勢や鎌倉の畑で育つ個性豊かな農作物を紹介したくて、友人のイラストを挿入して2007年にブログ形式のサイトを立ち上げました。
そのころは鎌倉産農作物が「鎌倉ブランド野菜」と名乗っていましたが、農家さんとのミーティングで「これからは鎌倉野菜といいましょうよ!」と話したのが、実は鎌倉野菜のネーミングのきっかけ。
地域の人、レストランや観光客に農作物を直売、直卸で販売する鎌倉の農業のスタイルは、サラダをイメージして生で食べられる物を中心に少量多品目で彩り豊かに生産していることが特徴の一つです。畑に行くと2畝みず菜、2畝ルコラ、2畝ホウレンソウとたくさんの種類が育っています。人呼んで七色畑。販売にも消費者がすぐに使えるように葉物や根菜のミックス売りをしたり、洗浄を丁寧にしたりと工夫があり、そんな話を聞けることが楽しい。
今では農家さんだけでなく漁師さんともお付き合いが広がり、鎌倉の水産物と農産物、それにかかわる人たち、野菜を使った料理のレシピを紹介しています。
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立ち上げ
ようやく子どもたちが自立し始めたとホッとしたのも束の間、今度は親の「介護」が気になりはじめました。「子育て」はやることや制度、費用等ある程度予測可能ですが、介護はそうもいきません。開始時期も状態もひとそれぞれ。で、その前にどんな仕組みか、そもそも介護ってどんなふうにやればいいのか、いざという時が来てしまう前に「準備」しようと情報を集めました。
私たちが見たこと、聞いたことをお伝えすることで、介護に直面したファミリーのお役にたてれば嬉しいなと考え、2008年サイトにしたのです。
実際に家族を介護される方。高齢者施設。事業所。人が暮らすところでもある介護現場の取材を重ねると、大変そうだけどあったかくって楽しいんだ、と感じます。
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ネタ集のスタート
子どもが少し大きくなると、小さなころ一緒に遊んだ科学工作や身近な実験などの遊びのネタは急速に忘れてしまいます。あれだけ研究して実験しまくったのに〜と、ちょっと残念に思っていた時、岩立直子さんに出会いました。横浜こども科学館でサイエンスインストラクターとして活動していた人です。
消えゆくネタをサイトで残しておこう。雨の日をもてあました子どもと一緒に、ママたちがすぐにできるように身近な材料でできることを集めよう、と岩立さんと一緒に2008年「わくわくラボ」を作りました。
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地域交流サロン
介護ガイドの取材時、スタッフが子どもの預け先を見つけられなくって一緒に連れてきたことがありました。入居の皆さんの喜んだこと!ああ、わたしたちがやるべきことは、これだったのかもしれない、と思いました。
ちょうど今泉の特養老人ホームでロビーを喫茶室として運営する団体を探していたので、知り合いの福祉法人を紹介し、「カフェふれんず」を作ってもらいました。そこに子連れで出かける会を作り、高齢者施設を公民館代わりに使ってみたのです。紙芝居や歌やアロマは高齢者や子育てママに喜ばれ、よい刺激になったようでした。 |
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わたしたちの災害準備〜にげろ |
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今自分のいるところに地震が起こったら? 揺れから身を守り、津波などからどう逃げたらいいんだろう?
3.11の東日本大震災の後、被災地にて復興支援をするうちに、地元の鎌倉で不安の声をたびたび耳にするようになりました。そんな声にどう答えられるんだろう?なにができるんだろう?
わたしたち自身で防災マップを見て自宅の海抜や避難場所を探し、避難経路を歩き、防災グッズなどを備え、連絡方法を試しました。それをアニメとレポートにして、地域の人と準備の情報を共有できるようにサイトとチラシにして配布しました。 地震を怖がって萎縮するのではなくて、自分の住んでいるところで、まずは備えてみましょうよ、と伝えたかったのです。 |
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■こども、家族、まちとともに
鎌倉に暮らしてその時々の「こんなのあるといいな」や「こうできたら楽しそう」「こんなこと伝えたい」をカメラ片手に取材して、インターネットというメディアを使って「形」にしてきました。
2000年に始めたサイトは、子育てから介護まで鎌倉の生活・福祉情報満載。今では一日2000人以上が訪れて下さるまでに成長しました。現在さらに「まちのちょっと昔の記憶」=鎌倉の近代を伝えるサイトを準備中。
こうした生活情報の発信や交流は、鎌倉の豊かな環境とそこに住まう人たちがおりなす「まち」の文化を伝え、次の世代につなげる作業だと感じます。だからこれからも、まちの「おもしろい」や「ステキ」を見つけて、手伝ったり、つなげたりしながら、楽しんで育っていきたいな、とおもっています。
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■リンク集
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