鎌倉にゆかりのある方にお話を聞く…第14回 My 鎌倉 |
今回のゲスト | |
田口てい子さん他3名(身体障害者地域作業所「よあけ」代表) | |
鎌倉のおすすめの場所や、思い出、その方ならではの鎌倉の捉え方などを毎月ご紹介するこの「わたしのすすめる鎌倉」。今月は鎌倉市大船にある身体障害者地域作業所「よあけ」において、集まっていただいた皆さんにお話を伺いました。 今回は変則的に、筆者が質問をして進行する?談形式になっています。出席者は代表の田口てい子さんと「よあけ」で作業をする若い人たち、真砂明広さん、橋場みちこさん、笠原由紀恵さんの4人です。 |
―みなさんで出掛けることは多いのですか? 田口「月に1回か2回、明日お天気がよさそうだから、フラワーセンターの芍薬が綺麗だから、バラが綺麗だからなど、四季折々にそういうことはしてます。それからいろいろな有志の方々から呼びかけがありますので、出掛ける機会は多いです。」 ―今まで行ってよかったと思うところはどこですか? 田口「やっぱり車椅子ですと、行動が限られてしまうんです。八幡様にしましても階段がありますので、駐車場の方から特別に車を裏八幡の方に入れて頂きませんと… 本殿の下で鳩と遊ぶくらいです。 よく行くのはフラワーセンターです。あそこですとそのままスロ−プがありますから、介助者もそのままお願い出来ますから、気楽に行くことが出来ます」 ―フラワーセンター以外ではどこか思い出深い場所はありませんか? 橋場「私は約2年間程入院してたのでここにも通っていませんでしたから、なかなか出掛けてなかったんですけれど。一時退院した時が、夏休みだったから花火大会に連れて行ってもらったことをよく覚えています。あれはすごくよかった」 ―どんなところがよかったですか?
橋場「花火も綺麗だったし、人がすごい多かった。あんなすごい人出の花火大会は行ったことがなかった。横浜にもよく山下公園には行ったことあったけど、それより全然規模が大きくて、花火の数とかも多くて綺麗だった。音も大きかった。すごく楽しかった。」 ―砂浜の問題がなければ、海にはいつでも行きたいと思いますか? 橋場「なんとなく行きたいとは思うんだけど。(今は)行きたいなで終わっちゃう」 ―この街で、好きな季節はありますか? 真砂「季節ですか?考えたこともなかったですね。夏は暑いし、冬は寒いし。鎌倉っていっても、俺はビルとか立ち並んでいるこのあたりに住んでいるので、あまり季節とかは感じないです。それでもこの辺は結構好きですよ。一昨年、上野の方に行ったんだけど、人混みがゴチャゴチャしててね、やっぱりあれは俺には合わない」 ―せっかく静かな場所もある鎌倉ですけど。 真砂「もうなれちゃったんですかね、こういうのに。かえってこれ以上静かなところだと、落ちつかないかなと思っちゃうんですよね」 ―ゲームセンターとかの方がいい? 真砂「大船駅の駅ビルの地下のゲームセンターとか。ただ、こういう街の中でも楽しみな所ってありますよ。俺、大船に住んでいるんですけれど、作業所に来る途中などによく通る桜並木なんかは、春になると桜が満開になって。季節を感じますよね」 ―鎌倉の中で特別行きたいと思うところはないんでしょうか? 橋場「私は若い人が気軽にお茶とかが飲めるようなところがあったら。あと下町みたいな、普通の家のようなちょっとしたお店とか、そういうところを回ってみたいなと思います。観光地じゃなくって」 ―お寺にはあまり興味がない? 真砂「ウン、そうですね」 ―でも鎌倉のお寺もいいところはたくさんありますよ。
橋場「最近よく思うのは、京都もお寺はあるし、鎌倉とあんまり変わらないんじゃないかなと。京都はなんとなく行きたくなるのに、鎌倉はそういう考えがあまり浮かばない。鎌倉も一度はちゃんと見てみたいんだけど……」 ―ユキさんが一番好きなところは何処ですか?趣味でもいいです 笠原「絵をかくこと」 ―なかなか気軽に外に出るということはやはり難しいですものね。 田口「みんなが外に出ていけない一番の原因は、街に障害物がたくさんあるということなんです。この障害物がなければ、みんなどこでも行けると思うんですよ。お寺さんにしろ、他の自分の好きなところにしろね。ここを一歩出たら、歩道ですら通れないんですよね。(車道と歩道の境の)スロープも、あれは雨が流れるためくらいの役にしか立たない。車椅子は通れないんですよ。それから、色々な障害物がありましてね、そうするとどうしても車道を通らざるをえなくなる。そうすると、車が怖くて通れない。もう少し、障害者に住みよい町が出来てくれば、みんな出ていけると思うのですけれども。」
蛇足を承知で少し説明を加えさせていただきたい。「よあけ」は大船の駅から徒歩約5分。目抜き通りというよりも、交通量は多いが路地といった感じの道に面している。通所者には男女8名ずつの計16名。内、車椅子使用者は8名。今回、取材に応じて下さった3人の方は、ただ足や体の一部が不自由だというだけの、普通の若者でした(ただ残念なことに笠原さんは恥ずかしがり屋さんだったので、発言が少なかったのですが)。彼らの話を聞き、健常者の障害者に対する理解が、低いという以上にピントもずれているということを痛感しました。それぞれの場所や人々の対応について、彼らや田口さんの言葉から新しい発見をしていただければ、それでいいと思います。(取材担当者)
車いす使用の身体障害を持つ人達が街へ出るのには、障害物がたくさんあります。歩道に段差があったり、斜めになっていたり、また自転車やオートバイが放置されているとどうしても車道を通らなくてはなりません。そのため外出を諦めてしまっているのが現状です。そして、駅での乗り降りの不便さ。駅員さんに声をお掛けしてお願いしてから、ホームに下りるまで10数分もかかります。また、ホームと通路を乗降するためのリフトの操作に慣れていない駅員さんもいらっしゃいます。そのため煩わしくなって外出を躊躇する人達が大勢います。皆さんにお願いがあります。ちょっとだけ、お手をお借しください!車いすが車道を通っていたら、安全なところまで押してください!駅で立ち往生していたら、駅員さんに声を掛けてください!そして、みんなが街に出掛けられますようにご協力くださるようお願いいたします。 |
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