心のマナー

9月の絵  今年は七月に入ってから雨らしい雨が降らず、三十度を超える猛暑が延々続いた。誰もが梅雨の中休みと思っていたら、そのうち歯切れの悪い梅雨明けの発表があって、夏になった。夏は好きだし、暑さも、あまり汗をかかないたちで苦にしない方だが、こう突如襲いかかってくると、体調の方が反応し切れず少々バテ気味である。高齢者は、特に応える。長期予報とやらは、八月も暑さは続き、九月も残暑と言っているから、覚悟しておかねばなるまい。
 季節にかかわりなく、人間社会は不条理なことばかり眼につく。一々あげつらうだけで、枚数がつきてしまいそうだから省略するが、つきつめて言えば、「心のマナー」の問題と思えてならない。考えられないような殺人事件が、当たり前のように起る。最高学府をでたエリート官僚が、これ又考えられないような幼稚な使い込みやちょろまかしをやる。大学の先生たちも、受験問題をバラしたり、採点のミスをしたりする。世の中どうなってるの、と呆れ顔でみているのが、平凡に、ささやかな幸せを求めて一生懸命生きている人々だ。外務省という所では、こんなことは以前から、どの部でもやっている、そうだから、情報開示の時代が悪いとでも思っているのか、救いようがない。
 心のマナー、とは、ほんの少しの思いやる心だ。大分前から、ジコチュウ、ということばが若い人の間で広がり、もはや現代語になっている。自立・自我・自尊、どれも結構なことだが、ちょっと間違うと利己主義、謂うところの自己中心、ジコチュウになる。他人のことなど眼中にない。自分のやりたいこと、言いたいことだけが正義と錯覚する。モバイル時代、益々進化する携帯電話が、ジコチュウを後押ししている。
 参議院選挙の投票日は、明日である。小泉人気が投票結果にどうでるか、さして関心はない。圧勝か、接戦か、を別にすれば、結果は殆ど見えている。
 いま一番気になることは、我々が日本を托した小泉総理の、明日以降である。自民党総裁に決定し、全党員の中でひとりスックと立ち上がった時の、小泉純一郎氏の清新な表情が、失われかけてはいないか。自信と過信は紙一重、靖国参拝を言いつのる姿に、ジコチュウの影がちらついているように思えてならない。(7/28記)

(S・Y)

鎌倉ケーブルテレビ広報誌
「チャンネルガイド」
平成13年9月号掲載
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