かわら版 プロ野球展望
6月いっぱいは、ワールドカップサッカーの熱狂に圧倒されて、影の薄かったプロ野球だったが、今月からは又勢いを盛り返して、オールスタア戦あたりでは、どんな順位になっているか、興味がない訳ではないが、どうも今年のプロ野球は、イマイチ華やかさに欠けているように思えるのは、単に私が横浜ベイスターズのファンであるからだけではない。
阪神タイガースの、開幕からの快進撃は、誠に颯爽として鮮烈な印象を与えてくれたが、一ヶ月過ぎたら、(首位にいるのにケチをつけては申訳ないが)やっぱり昔と変わらぬタイガースのように見えてならない。
読売ジャイアンツが、あの戦力で何故モタモタしているのか、去年までは監督のせいにしていたアンチG党も、悪口を叩く相手がいないような張合いのなさに違いない。
戦前のプロ野球の、上井草球場や洲崎球場の頃も朧ろ気ながら覚えている野球好きで、少しは目が肥えていると自惚れているが、今年はセリーグのどのチームも色褪せて見える。小じゃれた、職人肌の選手が揃って、粋なチームだった、わが贔屓ベイスターズも、今年は手垢のついた、うす汚れたチームになってしまって情けない。スワローズもドラゴンズも、昨年に比べて良くなっているとは思えない。わずかにカープのオーダーに新鮮味を感じる。
ベイスターズの最下位だけは、誰もが言い当てるだろうが、それ以外はどうなっても不思議はない。巨人が球界の盟主と言われることに異存はないし、巨人が優勝したら本当に景気がよくなるなら、応援もしようが、世の中全体には、今や巨人絶対と崇める人はそれ程多くないのではなかろうか。むしろ他の五球団が、巨人には敵わないという意識が抜けていないように見えて仕方がない。打倒巨人というスローガンは、その裏返しなのだ。
いまのプロ野球にとって、目障りなのはメジャーリーグだ。雲の上の存在だと思っていたものが、日本のプレイヤーの進出で隣り合わせのような存在になり、アメリカからみるとマイナーリーグのように見えるのではないか。その意味では、イチローこそ、日本プロ野球界の目の上のタン瘤かも知れない。
世界中の強力サッカーチームが集って、国の威信と名誉をかけて、必死に走り廻るワールドカップサッカーを、まのあたりに見た日本人が、再び日本のプロ野球にどんな目を向けるか、興味津々である。
(S・Y)
鎌倉ケーブルテレビ広報誌
「チャンネルガイド」
平成14年7月号掲載
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