10月14日(土)教養センターにて当協会ガイドの高橋みい子による「紫式部と源氏物語」の講演会が催行されました。スクリーンにはきれいな絵巻の数々が写し出され、源氏物語を読んだことがない人も十分楽しめた講演会でした。

「源氏物語」は約1000年以上も前に紫式部によって書かれたものですが、作者、紫式部による直筆は残っていません。写本も多く約200年後、校訂が着手されました。藤原定家による「青表紙本源氏物語」が京都で、一方鎌倉で源光行・源親行親子によって「河内本源氏物語」の校訂が完成しています。
1000年を超えて読み継がれてきた「源氏物語」、その魅力はどこにあるのでしょうか。制作当初から「源氏物語」は宮仕えの女房たちに評判だったらしい。「紫式部日記」には当時の帝の一条天皇に、歴史書にも精通した作者だと感嘆されたことが、謙遜交じりに記されています。

12世紀末、藤原俊成に「源氏見ざる歌詠みは遺恨の事なり」と讃えられ、「源氏物語」は和歌を作る上で必須の教養として研究されました。
作中の登場人物は、特に歴史上の実在人物がモデルとして取り沙汰されたにしても、それはあくまで虚構の人物でした。鎌倉時代初期から昨今の読者に至るまで光源氏への人物評はやや辛辣です。こう言った人物評がさかんなのは、虚構の人物がまるで血の通った人間かと思える心の動きや対話の呼吸が、細やかに深く描写されているからでしょう。

日本の代表的な古典として世界に誇る「源氏物語」、その魅力の源泉は文化や時代を超えて読み手の琴線に触れる普遍性にあります。同じ読者でも歳を重ねて読み返せば異なる理解が現れてきます。個々の読者の異なる人生の局面から「源氏物語」を通読してみましょう。
◎本講演会は、当協会の自主研修会を兼ねて開催され、多数の協会員も視聴しました。
◎2024年NHKの大河ドラマは「光る君へ」に決定しました。
「源氏物語」の作者「紫式部」の一生を描いたものです。

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